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翻訳家を志す人必見!
国内で有名な翻訳家10人から学ぶ翻訳の魅力とは
映像翻訳家は作品の世界観を損なうことなく、セリフや映像に合わせて字幕や吹替原稿を作成する高度な仕事です。
今回は映像翻訳家として活躍している特に有名な翻訳家を10名ご紹介します。
映像翻訳家になったきっかけなど、デビュールートにも着目してみてください。
映像翻訳家の仕事の魅力とは
翻訳には技術文書や契約書といった産業翻訳(実務翻訳)のほかに、絵本や小説など海外の書籍を翻訳する出版翻訳、そして映画やテレビ番組といった映像作品を翻訳する映像翻訳があります。
翻訳家はいずれかの分野を専門としているケースが多いです。そのうち翻訳家として名前が出ることがあるのは主に出版翻訳家と映像翻訳家です。
特に映画が好きな方であれば、劇場のスクリーンにクレジットされた映画翻訳家の名前に見覚えがあるのではないでしょうか。
映像翻訳の手法のひとつ、字幕では、限られた文字数で、セリフを訳します。全て訳してしまうと規定の文字数をオーバーしてしまうため、そのシーンごとに必要な要素を短い言葉で表現する必要があります。かつ視聴者が読みやすいよう、漢字やひらがな、カタカナといった日本語ならでは表記のバランスも工夫します。
吹替では人物のキャラクター性を活かしながら、俳優やアニメキャラの口の動きに合った言葉で訳します。また字幕と違って視聴者はセリフを耳で理解しますので、同音異義語を避けるなど耳で聞いたときに誤解のない言葉を選ぶことが大切です。
字幕も吹替も、違う難しさと魅力がありますが、映画が好きな方であれば情熱が注げる魅力的な仕事といえるでしょう。
有名な翻訳家10選
映画や文学、ビジネスなどそれぞれの翻訳分野で、日本の翻訳界を牽引してきた翻訳家がいます。ここではなかでも有名な、10名の映像翻訳家をご紹介します。
- 清水俊二さん
- 戸田奈津子さん
- 菊地浩司さん
- 石田泰子さん
- 松浦美奈さん
- アンゼたかしさん
- 林完治さん
- 松崎広幸さん
- 岡田壯平さん
- 風間綾平さん
有名な翻訳家の代表作や経歴を知ることは、これから翻訳家を目指す方、専門性を高めたい方の学びになるでしょう。
ここからは皆さんが翻訳家になったきっかけや代表作について解説していきます。
清水俊二さん
映画ファンなら一度は耳にしたことがあるであろう字幕翻訳家が清水 俊二さんです。
清水さんは映画会社に入社後、翻訳に携わるようになり、約2000本もの映画を翻訳した字幕翻訳の先駆者といえます。
清水さんは文化や時代背景を考慮し、かつ日本の観客でも理解しやすい字幕を多く残されています。
魅力的な世界観を美しい日本語で表現した字幕は、多くの観客の心を掴みました。
- 出身校:東京帝国大学経済学部
- 代表作:『七年目の浮気』『エレファント・マン』など
戸田奈津子さん
戸田奈津子さんは映画好き以外にも広く名前の知られた、日本を代表する字幕翻訳家でしょう。
津田塾大学学芸学部を卒業後、生命保険会社の秘書を経て、映画字幕翻訳を目指し、翻訳や通訳のバイトをしていたそうです。
そして『地獄の黙示録』の翻訳をきっかけに字幕翻訳家として認知され、年間50本ペースで字幕翻訳を担当してきました。
『E.T.』『タイタニック』『ミッション・インポッシブル』など、話題作の翻訳が多いことから、たくさんの方が戸田さんの翻訳に親しんでいるといえるでしょう。
戸田さんは清水俊二さんの弟子の一人で、清水さんが亡くなる直前まで翻訳していた『高い窓』の翻訳を引き継いで完成させたのも有名です。
- 出身校 :津田塾大学
- 代表作 :『ハリー・ポッターと賢者の石』『インディ・ジョーンズ』など
菊地浩司さん
菊地浩司さんは戸田さんに並ぶ有名な字幕翻訳家で、アクションやホラー映画を多く翻訳されています。
字幕翻訳をするうえで、要素を切り捨てずに情報を凝縮することを大切にしている表現力豊かな翻訳家です。
学習院大学を卒業してから、波乱万丈な人生を歩みつつ、映画喫茶でバイトをしたことをきっかけに字幕翻訳に関わるようになりました。
菊地さんは「字幕は1秒4文字」のルールを決めた方で、現代の字幕翻訳のルーツといえます。
- 出身校:学習院大学法学部
- 代表作:『ロボコップ』『スパイダーマン』など
石田泰子さん
石田泰子さんは企業に就職後、字幕翻訳に強い興味を持ち、日本翻訳学院(フェロー・アカデミーの前身)に通っていた翻訳家です。
受講していたのは吹替翻訳のクラスでしたが、翻訳家になるきっかけをつかむために通い始めたそうです。
その後前述の菊地浩司さんが社長を務めるプロダクションで字幕翻訳のバイトを始め、1986年に『不滅のデューク』で字幕翻訳家デビューしました。
シンプルで凝縮された翻訳のなかに、人間の生き生きとしたセリフを作るのが石田さんの翻訳スタイルです。
- 出身校:日本翻訳学院外国映画科
- 代表作:『バットマン フォーエヴァー』『トレインスポッティング』など
こちらの記事では、これから字幕翻訳家を目指したい方へのアドバイスを石田さんにお伺いしているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:字幕翻訳は制限があるからこそ面白い|TRANSLATOR’s
松浦美奈さん
松浦美奈さんは『アナ雪』や『キャロル』など、有名タイトルの字幕翻訳を担当している翻訳家です。
フランス留学中、観に行ったカンヌ映画祭で日本の映画配給会社の社長と知り合い、映画業界に入りました。その会社が倒産した後、字幕翻訳を勧められたのがきっかけで字幕翻訳家になったそうです。
年間40〜50本の翻訳を担当している松浦さんは、1日16時間も机に向かい翻訳作業をしているのだとか。
字幕翻訳家になるには、普段から繁華街を歩いたり人の意見をよく聞いたりと頭がさびないよう行動することも必要とおっしゃっています。
- 出身校:フランスの大学付属専門学校
- 代表作:『アナと雪の女王』『ブラック・スワン』など
アンゼたかしさん
アンゼたかしさんは大学卒業後にフェロー・アカデミーに入学し、映像翻訳を学びました。
最初は実務翻訳のお仕事が多かったそうですが、人気SFアニメ『ビーストウォーズ』の翻訳をきっかけに字幕翻訳の担当が増えました。
その後は字幕と吹替、両方で活躍しながらフェロー・アカデミーでも長年講師を務め、多くの翻訳者を育てました。
「尻込みしていたら永遠にチャンスは巡ってこない」という気持ちで翻訳されているアンゼたかしさんへのインタビュー記事はこちらです。
関連記事:映画好きにとってこんなに楽しい仕事はない!|TRANSLATOR’s
- 出身校:フェロー・アカデミー
- 代表作:『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『マッドマックス』など
林完治さん
林完治さんは、『アイ・アム・レジェンド』や『2001年宇宙の旅』など、アクションやSFの大作タイトルの字幕翻訳家として活躍されています。
菊池浩司さんの弟子の一人でもありますが、「マトリックス」三部作の翻訳をきっかけに「スターウォーズ」の新シリーズの字幕翻訳にも抜擢されました。
翻訳スクールで映像翻訳講師として、また映画翻訳家協会の会員としても活躍されています。
- 出身校:上智大学 外国語学部英語学科
- 代表作:「スター・ウォーズ」シリーズ、「マトリックス」シリーズなど
松崎広幸さん
松崎広幸さんは早稲田大学を卒業後、子どもの頃から好きだった映画に携わる仕事を目指すうちに、翻訳に携わるようになったそうです、
映画好きだった松崎さんは『ミッドナイトシアター』のディレクションやゴールデン洋画劇場の吹替翻訳を任されていました。
その後字幕翻訳も依頼されるようになり、今では吹替版と字幕版両方で活躍されています。
松崎さんは「足を踏み入れたことのない世界に興味を持つこと」をモットーに翻訳家として成長してきたそうです。
翻訳に興味がなかった松崎さんが翻訳家になった経緯については、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:選ばれる翻訳者になるには 自分にしか作れない訳文を紡ぎ出すこと|TRANSLATOR’s
- 出身校:早稲田大学 第一文学部
- 代表作:「007」シリーズ、「メン・イン・ブラック」シリーズなど
岡田壯平さん
岡田壯平さんは、一級建築士の資格を持ちながら、翻訳家になった面白い経歴を持つ字幕翻訳家です。
岡田さんが翻訳家になったきっかけは、設計事務所の経営に苦労していた頃、映画翻訳の仕事を思いつき、放送されていた映画配給会社に電話したことから始まります。
翻訳経験はなかったものの、上智大学英文学科出身という経歴が評価され、アシスタントとしてさまざまな字幕翻訳のチェックや付け直し作業を担当されていました。
映画翻訳の仕事を思いついたきっかけはご両親が役者だった影響で、今でも恋愛映画の翻訳はウキウキと楽しみながら翻訳しているそうです。
- 出身校:上智大学文学部英文学科、早稲田大学理工学部建築学科
- 代表作:『レオン』『プリズン・ブレイク』など
風間綾平さん
風間綾平さんは大学卒業後、証券会社に就職し、その後翻訳の道を目指すという経歴をお持ちの字幕翻訳家です。
もともと物書きを目指していた風間さんは、出版社への就職を目指していましたが採用されず、バブル景気の影響を受けていた証券会社に入社し、3年ほどして退社。
そこで、ふと翻訳家になることを思いつき、翻訳学校で文芸翻訳コースと映像翻訳コースを受講して、映画翻訳家となりました。
風間さんは、自分の作った翻訳が映像と音楽と一体になり、今までの経験すべてが翻訳の引き出しになることが映画翻訳家の醍醐味だと感じているそうです。
- 出身校:立教大学経済学部
- 代表作:『ボヘミアン・ラプソディ』『オデッセイ』など
翻訳家として活躍するには
翻訳家になるには、高い語学力はもちろん、さまざまなスキルや経験が必要になります。
ここからは翻訳家として活躍するために必要なスキルについて解説します。
翻訳スキルを身につける
翻訳家には語学力や内容理解力、調査力など、さまざまなスキルが求められます。
上記でご紹介した映像翻訳家を目指したいのであれば、下記の知識、スキルは身につけておいたほうがよいでしょう。
- 字幕翻訳、吹替翻訳のルール
- 物語、制作意図に対する理解力日本語の知識、表現力
これから翻訳家を目指したいという方は、語学力や翻訳力が示せる検定資格に取り組んでみるのもおすすめです。
翻訳家は資格がなくてもなれる職業ですが、目標があったほうがモチベーションにつながりますのでぜひ挑戦してみてください。
関連記事:翻訳家におすすめの資格とは?取得する流れとメリットを解説
翻訳学校ならスキル習得と同時に仲間や人脈が作れる
翻訳学校では、翻訳の技法から仕事のフローまで、翻訳家に必要な知識を学ぶことができます。
独学と大きく異なるのは、一緒に学ぶ仲間がいることと、翻訳業界で活躍している翻訳家から直接教えてもらえることです。
フリーランスの翻訳家として長く活躍していくためには人脈作りも大切。情報交換や相談ができる仲間の存在は心強いものとなるでしょう。
プロから翻訳技法を学びながら仕事の経験談が聞けたり、仲間を通じてさまざまな情報が得られたりするのは翻訳学校に通うメリットです。効率よく翻訳家を目指すなら独学よりもスクールを利用するのがおすすめです。
翻訳案件に参画して経験を積む
翻訳スキルを身につけたあと翻訳家として活躍したいなら、積極的に翻訳案件に応募することをおすすめします。
翻訳の経験を積む方法はいくつかありますが、以下を試してみるとよいでしょう。
- 翻訳会社に登録する
- クラウドソーシングを利用する
- 翻訳者ネットワーク「アメリア」を利用する
翻訳の仕事は企業に就職して行う方もありますが、フリーランスとして活動するケースが大半です。
フリーランスの翻訳家を目指すのであれば、クラウドソーシングや翻訳会社を通じ、未経験や初心者でも応募できる求人に挑戦してみましょう。
翻訳者ネットワーク「アメリア」には翻訳に関する求人が多く寄せられていて、求人の約3割は未経験でも応募できる求人です。会員制で入会は有料ですが、仕事の相談も受けることができ、自分が希望する仕事を効率よく探すには便利なサービスです。
まとめ
今回ご紹介している翻訳家の方以外にも、翻訳家の第一線として活躍されている方は多くいます。
生成AIなどで自動翻訳が発達しても、言葉に直接表れていない意図を汲み取り、内容や読み手にあった豊かな表現力が求められる翻訳は、これからも需要がなくなることは無いでしょう。
翻訳家として活躍するなら、まずは好きな分野や作品を自分なりに翻訳したり翻訳スクールで技術を磨いたりし、その後積極的に翻訳案件に応募してみるのがおすすめです。
翻訳家を目指すならフェロー・アカデミーへ!
最速で翻訳を学ぶなら、翻訳学校がおすすめです。
翻訳学校であれば専門知識と業界経験を持った講師による指導を受けることができ、学習中の疑問点をすぐに解決できます。
また最適化されたカリキュラムのため無駄がなく、効率的に学ぶことが可能です。
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