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翻訳家ってどんな仕事?仕事内容、スキル、年収、将来性を徹底解説!
「翻訳家」という仕事は、言語の枠を超えたコミュニケーションの重要な役割を果たします。
一つの言語から別の言語に正確かつ適切に翻訳することによって、異なる文化や国々の人々が互いに理解し合うための架け橋となるので、大変やりがいのある仕事と言えます。
では、気になる具体的な仕事内容はどういったものなのか、スキル、年収、働き方など色んな角度から徹底解説します。
キャリアチェンジを考えている方、翻訳家を目指す学生の皆さん、将来の進路を真剣に考える上で必要な情報を、ぜひ手に入れてください!
翻訳家の仕事内容と働き方
翻訳家の仕事は、文学作品、ビジネス文書、法律文書、医療関連の文書、ウェブサイトの翻訳など、さまざまな分野にわたりますが、大きく3つの分野に分けることができます。
1)実務翻訳(産業翻訳)
2)出版翻訳
3)映像翻訳
実務翻訳(産業翻訳)とは
「企業活動で必要とされる、あらゆる文書の翻訳」のことで、産業翻訳とも呼ばれます。
仕事の種類や量がたくさんあり、翻訳の需要がもっとも大きい分野です。
内容は、契約書、マニュアル、金融レポート、マーケティング、IT関連の仕様書・ソフトウェアの翻訳、医療関連の翻訳など、海外との取引に必要な情報や文書が主です。
実務翻訳者になるには、翻訳会社の実施するトライアルと呼ばれる、翻訳の実力をはかる試験を受けて登録し、フリーランスとして働くのが一般的です。
企業に就職して翻訳を行ったり、出来上がった訳文をチェックするチェッカーという職種を経てフリーランスに独立する方もいます。
出版翻訳とは
海外の雑誌や小説などの「本」の翻訳です。
書店に行くと分かる通り、そのジャンルは多岐にわたりますが、大きく「フィクション」と「ノンフィクション」に分かれます。
「フィクション」は、ミステリー小説、ロマンス小説、ヤングアダルト小説、純文学、絵本など、「ノンフィクション」は、ビジネス書、自己啓発書、科学書などです。
近年、需要が大きいのジャンルはビジネス書や自己啓発書です。
出版翻訳者になるには、フリーランスとして働くのが一般的です。仕事が求人情報に掲載されることはほぼなく、仕事の依頼は出版社を通して行われるので、出版社との繋がりをつくってそれを継続していくことが必要です。
出版社とのつながりを作るには、本を発掘し出版社に企画を持ち込む、翻訳コンテストで入賞する、翻訳学校の講師からの下訳や共訳の仕事を紹介されデビューする、リーディングの仕事(原書のあらすじや感想をレジュメにまとめて出版社に納品する仕事)に応募するなどといった方法があります。
映像翻訳とは
映画、テレビ番組、動画配信サービスなど、映像と音声で構成されたコンテンツの翻訳です。
近年、Webの動画配信サービス成長により需要が増えていますし、企業のPR映像やマニュアル動画など、ビジネス系の映像翻訳も増えており、市場は拡大傾向にあります。
映像翻訳者になるには、翻訳会社や映像関連会社に就職するか、フリーランスとして活動することが一般的です。
それには、翻訳会社や日本語版制作会社の実施するトライアルと呼ばれる、翻訳の実力をはかる試験に合格して登録する必要があります。また翻訳学校の講師から下訳を頼まれデビューする、といった方法もあります。
なお、字幕翻訳は字幕制作ソフトを扱えることが条件となる場合がほとんどですので、専門の学習が必要です。
翻訳家に求められる必須スキル
翻訳家になるためには、英語力だけでなく、さまざまな能力が求められます。
以下に、翻訳家に必要な必須スキルについて詳しく説明します。
言語能力
翻訳家にとって言語力は最も重要なスキルです。
対象言語の文法や語彙に精通していることが求められる他、文脈に応じた適切な翻訳を行うために日本語の豊富な語彙や表現力を備える必要があります。
調査能力
専門的な文書やテーマが多い仕事ですので、正確な翻訳を行うために、信頼性の高い情報源を探し、適切な情報を選び取る能力が必要です。
また翻訳対象の文化や習慣、慣用表現などを理解し、適切な表現を選び出すことが求められますので、
文化の背景知識や社会的なニュアンスを理解するためにも調査能力は必須です。
時間管理能力
翻訳はしばしば厳しい締め切りとの戦いです。加えてほとんどがフリーランスの仕事なので自分で時間管理をして、効率的な作業スケジュールを立てることが求められます。
正確性や品質を保ちつつ、締切を守る能力が必要です。
コミュニケーション能力
在宅勤務であっても、クライアントや編集者と円滑にコミュニケーションを取ることが不可欠です。
翻訳家は、クライアントから仕事を受け、求められる品質に応えながら納期までに成果物を提出するという流れで仕事を進めます。
より良い成果物に仕上げるためには、仕事の各段階で携わる方々とコミュニケーションを円滑に行い、協力して仕事を進めることが重要です。
翻訳家の収入と収入を左右する要素
翻訳家の収入は、さまざまな要素によって左右されます。
市場の動向や個々の能力や経験によっても異なるため、一概には言えませんが、一般的に言われている収入と、翻訳家の収入を左右する要素について詳しく説明します。
実務翻訳の収入
実務翻訳の平均年収は300万円~500万円程度と言われています。
高度な専門知識が必要な分野は単価は高くなる傾向にあり、一般社団法人日本翻訳連盟が公表している翻訳料金目安では、”医学・医療・薬学”の分野が最も高いとされています。
またジャンルに関わらず、日本語から英語へ訳す日英翻訳の需要あり高めの単価が設定されています。英日翻訳は訳文400字で1,000~3,500円程度、日英翻訳は訳文計算で訳文200ワードで1,500円~4,000円程度と言われています。原文のワード数(または文字数)あたりで設定されるケースもあります。
出版翻訳の収入
出版翻訳の平均年収は300万円~400万円程度と言われています。
これは一般的な出版翻訳者が、1年に3~4冊翻訳されている方が多く、1冊訳して100万円前後が1つの目安とされていることによります。
ただ近年では印税率の低下や初版発行部数の減少で、金額は減少傾向にあります。
報酬は、買取方式と印税方式があり、印税方式の書籍がベストセラーになった場合には高額の収入を得ることができます。
映像翻訳の収入
映像翻訳の平均年収は、300万円~600万円程度と言われています。
経験豊富な有名翻訳家になると、単価も高くなります。
映像翻訳はフリーランスの人がほとんどで、経験や翻訳スピードなどスキルによって収入が大きく変わる世界です。
映像翻訳の仕事は10分で5,000円~数万円程度が相場で、経験や仕事の受注先によって変わります。
翻訳家の収入を左右する要素
市場動向は、収入に影響を与えることがあります。
例えば、コロナ禍ではメディカル関連の翻訳の需要が急増し、医療情報や公衆衛生に関する文書、研究論文、医療機器のマニュアルなどがその対象となりました。
このような需要の増加により、医療翻訳に特化した専門知識と高い翻訳スキルをもつ翻訳者は、より多くの仕事を受注することができました。
また映像翻訳家も、動画配信サービスの普及によって多数の海外ドラマや映画の翻訳が必要となったため受注量が急増しました。
このように、市場動向が翻訳家の収入に影響を与える場合があります。
経験豊富な翻訳家や特定の分野に精通している翻訳者は、高品質な翻訳を提供できるため、その分収入も高くなる傾向があります。
また、特定の分野に特化した専門知識を持っていれば、その分野で需要の高い仕事に携わる機会が増え、それに伴って収入を増やすことができます。
さらに翻訳スピードを向上させ、短納期の案件に迅速に対応できれば、より多くの仕事をこなすことができるため、収入を増やすことができます。ただし、品質を保ちながらスピードを追求することが重要です。
経験・知識・スピードを兼ね備えた翻訳者は、クライアントからの信頼を得ることができ、より多くの仕事を獲得しやすくなるため、さらなる収入アップを図ることができます。
翻訳家の収入には、働き方も関係しています。
翻訳家は、フリーランスとして独立して仕事を受注する場合や、翻訳会社などの組織に所属して働く場合、副業として翻訳業務を行う場合など、様々な働き方があります。
特にフリーランスの場合は、自分のライフスタイルに合わせて年間のスケジュールを調整したり、独自の価格設定を行ったりすることができます。また自分が提供する翻訳の品質や価値に応じて、クライアントとの交渉も直接行えるので、自分自身で収入をコントロールすることができるというメリットがあります。
以上の要素が翻訳家の収入に影響を与える要因です。
収入アップのためには、経験を積み重ね、専門分野のスキルを習得し、クライアントとの信頼関係築くこといった、個々の翻訳家の能力や努力も重要です。
AIの登場による翻訳家の仕事への影響
AI技術の進歩に伴い、翻訳業界においても機械翻訳の導入が進んでいます。
これにより、翻訳家の仕事においては一定の影響が生じる一方で、同時に新たな可能性や需要も生まれています。
以下に、AIの登場による翻訳家の仕事への影響について詳しく解説します。
異なる文化や背景における微妙なニュアンスの理解が必要な場合
AIの機械翻訳技術は確実に進歩していますが、まだまだ人間の翻訳家による翻訳とは異なる品質の課題があります。
言語のニュアンスや文化的背景を正確に理解し、適切な翻訳を行うためには、人間の判断力や文脈理解が必要です。
翻訳家はAIと共存し、AIの出力を修正や編集するなど、人間の専門性を活かした付加価値を提供することができます。
専門分野での知識が求められる仕事の場合
AIの機械翻訳は一般的なテキストにおいては高い精度になってきましたが、特定の専門分野や高度な文書においては限定的です。
特に専門的な知識や文化的なニュアンスが重要な分野では、翻訳家の役割が不可欠です。
例えば、法律文書や医療文書、文学作品など、高い品質と正確性が求められる分野では、翻訳家の専門知識と判断力が重要です。
異なる地域や文化に合わせたカスタマイズが必要な場合
世界中でビジネスが広がる中、製品やサービスを異なる地域や文化に合わせてカスタマイズすることを「ローカライゼーション」と言われており、そこでも翻訳が必要となります。
ローカライゼーションでは言語だけでなくその地域の文化や習慣を理解していることが求められます。
そういった場面では機械翻訳だけではうまく対応できないため翻訳家の存在が重要です。
文学作品や広告などクリエイティブな翻訳の場合
文学翻訳や広告翻訳など、クリエイティブな要素が求められる翻訳業務は、翻訳家の専門知識と感性が重要です。
文学作品やクリエイティブなコンテンツの翻訳においては、AIによる翻訳では表現の豊かさや感情の伝達が難しい場合があります。
こうした翻訳業務においては、翻訳家のクリエイティブなアプローチが求められ、AIとの組み合わせでより良い成果を生み出すことが可能です。
AIにはない人間的な要素が求められる場合
AIの翻訳技術は日々進化していますが、人間の翻訳家にはAIにはない人間的な要素があります。
翻訳家は、クライアントとのコミュニケーションをとったり、要件を理解したりする上で、AIがカバーできない課題やニーズに対応することができます。
高品質な翻訳を提供するだけでなく、文化的な敏感さやニーズへの柔軟な対応など、付加価値を提供することによってAI翻訳との差別化を図ることができます。
このように、AIの登場により翻訳業界は変化していますが、翻訳家の役割は依然として重要です。
AIと翻訳家が相互補完することにより、より高品質な翻訳を提供できます。
翻訳家になるには、翻訳家としてキャリアを積むには
翻訳家になるには、様々な道のりが存在します。
以下に、どの分野でも共通する翻訳家になるための方法を解説します。
言語力と専門知識の習得
翻訳家としてキャリアをスタートするには、高いレベルの言語力を身につけることが不可欠です。
さらに、特定の専門分野に特化することで、専門知識や用語に精通し、高品質な翻訳を提供することができますので、翻訳学習と合わせて専門分野の学習を行い、自身のスキルを高めることが大切です。
経験の積み重ね
翻訳の実務経験は、仕事を獲得し、さらに次の仕事につなげるための重要な要素です。
募集要件に実務経験3年以上などの条件を出しているところも多く、未経験者にとっては一つの壁です。初めは未経験OKの仕事や、小規模な仕事、ボランティアなどから始め、徐々に経験を積み重ねていきましょう。
また、翻訳業界は幅広く業界と繋がっていますので、今までご自身が培ってきた勤務経験を活かすことも可能です。
専門分野の開拓
特定の専門分野において専門知識や経験を持つことは、翻訳家のキャリアを積むのに重要な要素です。
自分の興味や関心がある分野を選び、その分野の知識やトレンドに精通することで、その分野において翻訳家としての専門性を高めることができます。
専門分野の学習や関連するコースやセミナーへの参加などを通じて、自身の専門性を深めていきましょう。
ネットワークの構築
翻訳業界では、ネットワークの構築が重要です。
業界のイベントやセミナーに参加したり、翻訳関連のコミュニティや団体に参加したりすることで、他の翻訳家や関係者とのつながりを築くことができます。
これにより、情報共有や仕事の紹介などの機会が生まれ、キャリアの発展につながることがあります。
プロフェッショナルな成長
プロの翻訳家としてさらなる向上を目指すには、継続的な学習と成長が重要です。
翻訳家になるまでの道は、個人の選択や努力によって大きく変化します。
自身の目標や興味に合わせて、上記の道筋や選択肢を組み合わせながら、自分自身のキャリアを築いていくことが重要です。
継続的な学習と成長を意識し、常に自己啓発を行うことで、翻訳家としてのスキルを高めていきましょう。
まとめ
ここまで、翻訳家の仕事内容やスキル、年収、将来性などについて詳しく紹介しました。
翻訳家という仕事は、非常にやりがいのある職業です。
記事を読んで、「翻訳家」という仕事により興味を持っていただいたり、翻訳家になることを考えている方々が、一歩を踏み出す勇気を持っていただけたら幸いです。
ぜひ自身の言語力や文化的な理解力を活かして、世界とのコミュニケーションを担う翻訳家の道へのステップを歩んでみてください!
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