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通訳者の年収事情|平均年収やスキルアップの秘訣とは
本記事では通訳者の平均年収と共に、年収アップにつながる5つのポイントを紹介します。異職種から通訳業を目指す方に向け、転向のメリットなども解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
通訳者の平均年収は?
通訳者の平均年収は?
通訳者の年収は、スキルや経験、雇用形態など、さまざまな要因で異なります。特に会社に所属しているか、フリーランスとして働いているかは、大きな影響があるでしょう。
ここで通訳者の平均年収、年収を左右する要因について、詳しく解説します。
通訳者の平均年収は約551.4万円
厚生労働省が提供している職業情報サイト「jobtag」を確認すると、通訳の平均年収は551.4万円です。平均年収は会社に所属している社内通訳者を含めた数値のため、フリーランスに絞るとやや少なめになる可能性があります。
通訳は専門職であり、東京都の通訳者の平均年収は593.7万円と、日本全体の平均年収である458万円を大きく上回っているといえます。
ただし、あくまでも通訳者全体の平均年収のため、年代や経験、業界や地域によってはかなり差が出るかもしれません。特に通訳者はフリーランスとして仕事がある時だけ業務に携わるケースが多いため、社内通訳者でない限りは収入に波があるでしょう。
フリーランス通訳者の割合
通訳者の約61%はフリーランスとして働いているため、仕事量やクライアントの種類によって収入に大きな幅があります。求人サイト「求人ボックス」に掲載された通訳の仕事情報を確認すると、東京で通訳のアルバイトをすると平均時給1,643円ほどです
経験豊富な通訳者であれば時給や日給も高くなるため、仕事量に波があっても、ある程度高い報酬が得られるでしょう。また、通訳する言語によっても年収に差がでるため、希少言語や専門性の高い分野で通訳をしているトップクラスの人材であれば、年収が数千万以上になるかもしれません。
通訳者の年収を左右する要因
通訳者全体の年収を左右する要因として考えられるのは、次の5つです。
● 言語の組み合わせ
● 通訳の内容
● 業界や分野
● 地域
● 雇用形態
通訳者の年収に大きく関わるのは、言語の組み合わせと通訳の内容でしょう。日本語や英語以外で需要の高い言語や、通訳者の少ない言語は、報酬が高い傾向であるため年収も高くなりやすいでしょう。
また、同時通訳や逐次通訳など、通訳の内容も収入に大きな影響があります。特に同時通訳は逐次通訳よりも高いスキルが求められるため、報酬もそれだけ高く設定されているケースが多いです。国際会議やシンポジウム、学会発表会などの大きな案件であれば、日給が一般的な通訳案件の数倍になる可能性もあります
さらに地域や雇用形態の違いも年収に大きく関わってきます。一般的に都市部に近づくと年収が高いとされていますが、昨今のインバウンド需要により、観光地など地方でも通訳者の需要は高まっています。
通訳者の年収は、さまざまな要因が重なって上下するため、まずは経験を積むのがよいでしょう。
通訳者が年収アップを目指すには?
通訳者が年収をアップさせるためには、年収を左右する要因にアプローチするのが一番です。年収をアップさせる方法として、スキルや専門性を高めるのは欠かせません。ほかにもほかの通訳者と横のつながりを広げて紹介や最新情報を共有してもらったり、クライアント獲得に向けて営業し続けたりする努力も必要です。
ここからは通訳者が年収アップを目指すために必要な5つのポイントについて、確認していきましょう。
スキルアップ
通訳者が年収アップするためには、語学力の向上をはじめとしたスキルアップは欠かせません。特に難解な専門用語や文化的背景、トレンド情報など、通訳するうえで必要な知識は常にキャッチアップを意識しておくとよいでしょう。通訳は他言語間のコミュニケーションの橋渡しをする役目であり、クライアントからの信頼を得るためにもスキルアップは重要です。
スキルアップの一環として、語学系の資格取得や専門分野に関する資格や免許を取得するのもおすすめです。特に医療系や法律系など、専門的な資格を取得しておくと、高待遇な案件に出会えるかもしれません。
機械翻訳が発展しても、細かいニュアンスは人間である通訳者のほうが理解・表現しやすいため、今後も語学力などのスキルアップは重要といえます。
クライアント獲得
年収アップに欠かせないポイントとして、大手企業や待遇の良いクライアントと契約を結ぶことが挙げられます。待遇の良いクライアントと契約している場合、複数の案件をこなさずに高い報酬が得られる可能性があります。特にフリーランスの通訳者は時期によって仕事量に差が出やすいため、特定のクライアントと専属契約を結べると収入の安定につながります。
クライアントを獲得するためには、これまでの実績をアピールできるポートフォリオやWebサイトを用意しておくのがおすすめです。また、普段のお仕事状況などがわかるSNSアカウントなどもあると、依頼が来るかもしれません。
専門性を磨く
医療系や法律系、スポーツ系など、特定の分野の専門性を磨くと、通訳者としてのキャリアアップにつながるでしょう。同時通訳や逐次通訳ができるだけでなく、分野に特化している通訳者は、多くの場で重宝されます。
自分が得意だと感じていたり、受注数の多い分野で専門性を高めたりすると、実績のアピールにもなりやすいので、ぜひチャレンジしてみてください。また、同じ業界、分野で活動していると、紹介も受けやすくなる傾向があります。
ほかの通訳者とのネットワークを広げる
直接的には年収に関わるわけではありませんが、横のつながりとしてほかの通訳者とのネットワークを広げておくこともおすすめです。通訳者同士の購入から、業界内でのトレンドや、お仕事事情など、さまざまな情報が手に入る可能性が高まります。
同業者というと競合なイメージも強いですが、将来的なビジネスチャンスが生まれるかもしれません。まれに大型案件のヘルプ依頼がある可能性もあるので、信頼できるネットワークを持っておきましょう。
閑散期は雇用契約も検討する
社内通訳者の場合は安定して収入が得られますが、フリーランスは時期によって収入の変動が大きくなりがちです。先々を見通し、仕事が閑散期に入りそうな場合は、一時的に派遣雇用やパートタイムなどの直接雇用で働くことも検討してみるとよいでしょう。
通訳者として実績を積み重ねつつ、収入源に備えられるため、将来的な安定につながります。また、一時的な契約であっても、実力が認められればそのまま継続案件となる可能性もあります。
ベテランのフリーランス通訳者であっても、閑散期になるリスクはあるため、収入源となりそうな場合の戦略について検討しておきましょう。
異職種から通訳者を目指せる?
これまでの社会人経験を活かし、通訳者に転向を考えている方もいるのではないでしょうか。通訳は公的資格を必須としない職種であり、年代を問わずチャレンジできます。
しかし、通訳者の仕事は非常に高い言語スキルと専門知識が求められるため、転向するメリットやデメリットなどを把握しておく必要があります。
ここからはこれから通訳者を目指す方へ、通訳業界を目指すメリットとデメリット、転向する際に注意しておきたいポイントを紹介します。
そもそも通訳者の働き方とは?
前述した通り、通訳者はフリーランスとして活動している方が多いです。一般的な会社員として社内通訳を行うケースもありますが、一般的にはクライアントと契約を結び業務を行います。通訳のお仕事は依頼内容に応じて、オンラインや現場で通訳を行いますが、通訳内容や勤務時間なども大きく異なります。
仕事内容によっては、数日がかりで通訳の業務にあたる場合があり、大きなプロジェクトであれば同業者と交代しつつ通訳する場合もあります。特に同時通訳は非常に集中力を要するため、国際会議などの大きなプロジェクトでは交代の通訳者が控えている場合が多いです。
通訳者に転向する前に、働き方や通訳業界の通例などを早めに知っておくと活動しやすくなるでしょう。
通訳者に転向するメリット・デメリット
異職種から通訳者に転向するメリットは、次の2つです。
- 社会人経験が活かせる
- 他の職種で身につけた専門知識が活かせる
社会人経験が活かせるのは、異職種から転向する人のメリットです。基本的なビジネスマナーなどビジネス慣習を理解しているだけでも、働きやすさは大きく異なります。また、通訳者へ転向する場合でも、医療や法律など特定のジャンルの知見があれば、専門知識が活かしやすく、高い報酬が得られるかもしれません。
一方で、通訳者へのキャリアチェンジは、年収の減少や、働き方の違いに悩むなど、さまざまなデメリットがあります。特にフリーランスの通訳者への転向を検討している場合は、仕事の確保やクライアントとのコミュニケーションに負担が大きいと感じる場合も。通訳の仕事は非常に集中力と高いスキルが求められるため、精神的にも肉体的にも疲れやすくなる可能性があります。
通訳の仕事へ転向する際に注意したいポイント
通訳の仕事へ転向する際に注意しておきたいポイントは、次の3つです。
- 前職からの年収のギャップ
- 長期的な事業計画
- ワークライフバランス
異職種から通訳者へ転向する場合、前職から大きく年収が減少する可能性があります。知識や経験もある前職の年収と、未経験の通訳の年収では、大きなギャップが生まれる可能性が高いでしょう。
特にこれまで会社員として働いていた方が、フリーランスの通訳者へ転向する場合、収入の不安定さや保障のなさに不安を感じるかもしれません。
また、通訳者として成功するには、継続的なスキルアップと仕事を獲得しつづけるための営業活動と事業計画が大切です。パートなどと兼業したり、スキルアップやネットワーク拡大のためにセミナーなどに参加したりと、転向したては慌ただしいかもしれません。安定した収入を得られるようになるまでは、体調やメンタル面の管理といったワークライフバランスの調整にも注意してください。
通訳者へ転向する際にもっておくと便利な資格
通訳者は特別な資格がなくてもなれる職種ですが、異職種から転向するなら資格を持っていくと実力をアピールしやすいです。通訳者は相手の言語を正しく通訳できるだけの高い語学力と理解力、コミュニケーションが必要なため、語学力のレベルは仕事の獲得しやすさに直結します。
異職種から通訳者を目指す際におすすめな資格は下記の通りです。
- TOEICやTOEFL
- ビジネス通訳検定(TOBIS)
- 通訳案内士
- 実用英語技能検定
通訳者を目指すなら、TOEICなどの英語力がわかる試験で、高得点を取得しておくのがおすすめです。TOEICは通訳の求人でも一定以上の点数を目安にしている場合が多く、実力がわかりやすいので一度は受験しておくとよいでしょう。
また、ビジネス通訳検定や通訳案内士は、通訳者としての実力を図る試験です。ビジネスでよくある通訳のシーンを想定した問題が出題されるため、資格勉強をするだけでもお仕事に役立つかもしれません。特に通訳案内士は、国内で唯一、通訳に関する国家資格であり、観光案内ガイドを務めるなら必須の資格です。
ほかにも、韓国語やロシア語検定など、特定の言語検定の受験もおすすめなので、ぜひチャレンジしてみてください。
まとめ
通訳者として成功するためには、専門性や文化的な理解を深め、実務経験を積み重ねることが大切です。雇用形態によって通訳者の年収は大きく異なりますが、実力があればフリーランスでも安定した収入が得られるでしょう。
異職種から通訳者を目指す場合は、年収の減少や働き方の変化など、将来的な事業計画を考えてから転向するのがおすすめです。特にフリーランスとして通訳者を目指す場合は、体調不良などで働けなくなると収入が途絶えてしまいます。
通訳者として安定した収入を得るためにも、普段からスキルアップや専門性の向上を意識してみてください。
また、通訳と同じく高い言語能力が必要とされる仕事に、翻訳があります。翻訳と通訳では表現方法や求められるスキルがまったく異なります。翻訳家になる方法について知りたい方は、ぜひ下記のコラムも参考にしてみてください。
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