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翻訳が難しいと感じる5つの理由
自然に翻訳するコツとは
「外国語が好きで翻訳家を目指しているけど、専門分野の翻訳は難しい」
「翻訳ツールを使いこなすのが難しい」
翻訳家として活動していても、一度は翻訳が難しいと感じたことがあるのではないでしょうか。
今回は翻訳が難しいと感じる理由と共に、自然な翻訳をするためのコツについて解説します。
また、翻訳スキルを磨く方法も4つ紹介しますので、翻訳が難しいと感じている方はぜひ最後までご覧ください。
翻訳が難しいと感じる5つの理由
翻訳が難しいと感じる理由の一つに、日本語が複雑な言語であることが考えられます。
日本語は「漢字・ひらがな・カタカナ」と文字体系が連なっていて、ほかの言語にはない「てにをは」など、気をつけなければ文意が変わってしまう言語です。
単純に単語を置き換えるだけでは原文の意図からずれる可能性があり、そのため翻訳が難しいと感じる方も少なくありません。
ここからは翻訳が難しいと感じる5つの理由について解説します。
言語間での言い回しの違い
もっとも翻訳が難しいと感じる理由は、言語間での言い回しの違いではないでしょうか。
日本では国民性からか控えめな表現が多く、行間を読ませるような言い回しを多用します。
一方、英語は主張をはっきりする価値観が影響し、具体的な単語やフレーズが存在します。
そのため、両言語の特徴を理解しないと原文の意図とまったくかけ離れた翻訳になりかねません。
特に日英翻訳では対訳できる単語やフレーズが見つかりにくいため、翻訳の難しさを感じやすいでしょう。
文化的背景の違い
翻訳が難しいと感じるのは、単語の意味だけでなく、文化への適切な理解が必要だからではないでしょうか。
言語はその国や地域の文化と密接に関係し、価値観や習慣が色濃く反映されます。
たとえば、日本語の「腹が立つ」という表現は英語で「get angry」と直訳できますが、英語圏の方には「腹」と「怒り」にどんな結びつきがあるかわかりにくい表現かもしれません。
自然な翻訳をするためには、文脈や慣用句、比喩表現の違いについて、文化的背景を考慮しながら読み取るスキルが必要です。
国や地域の文化、習慣を理解し、適切な言葉を選ぶには、ある程度の翻訳経験も必要でしょう。
専門用語の存在
専門性の高い翻訳においては、翻訳家自身が専門分野の知識を持っておく必要があります。
特に医療や法律、工学の分野では、読み手がある程度の知識や技術を持っているため、専門用語を正しく使用しないと読み手を惑わせてしまいかねません。
たとえば、同じ「clip」というワードでも、医療分野の「止血クリップ」と映像分野の「映像クリップ」では大きく意味が異なります。
原文の意図を曲げずに正しく翻訳するには、その分野の専門知識が必要不可欠です。
また、分野によっては新しい専門用語が増えるケースもあり、翻訳家は常に最新情報を確認しながら翻訳しなければならない点も難しいと感じる理由でしょう。
代名詞の不明瞭さ
翻訳が難しいとされる理由の一つに、代名詞の不明瞭さがあります。
英語には三人称の使い分けに「it」「he」「she」の区別があり、日本語では「それ」「彼」「彼女」に該当します。
しかし、日本語は代名詞を英語ほど明確に扱いません。
日本語は、英語のように文法的な「機能語」としてではなく、書き手の感情や登場人物に対する印象を「内容語」として表現します。
そのため、英語の代名詞を自然な日本語に翻訳すると、ほとんどの場合省略されます。
英日翻訳の場合は、文脈から対象を読み取れますが、日英翻訳の場合は文脈から対象が読み取りにくいため、翻訳が難しいと感じるのかもしれません。
翻訳ツールの限界
近年、機械翻訳のような翻訳ツールの性能が大幅に向上しましたが、人間が行う翻訳に比べればまだ精度は低いです。
特に専門用語や複雑な文章構造になっている文章では、まったく違う翻訳をされてしまうケースもあります。
翻訳ツールによっては単語単位で訳してしまい、文章全体として意味をなさないこともあります。
また、慣用句や比喩表現なども正しく理解できず、まったく違う意味に翻訳されてしまう可能性があり、翻訳ツールにも限界があります。
出力された文章をそのまま利用するのは誤訳のリスクがあるため、あくまでもサポートツールとして利用するのが望ましいでしょう。
翻訳が難しいと感じても、必ず最終的なチェックは人間が行い、自然な文章に整える必要があります。
自然な翻訳をするためのコツ
翻訳が難しいと感じるのは、文章の流れや文脈を自然に整えるのが大変だからかもしれません。
自然な翻訳には、単語の意味と文章全体の意図、そして翻訳言語の文化や比喩表現の解釈が重要です。
ここで自然な翻訳をするためのコツを3つ紹介します。
単語単位ではなく、文章全体を捉えて訳す
自然な翻訳を行うには、単語単位でなく文章全体の意味を捉えるのが重要です。
単語のみで翻訳してしまうと、細かいニュアンスを理解しきれず、原文の意図とはかけ離れた誤訳になりかねません。
また、文章全体で訳す場合でも、文化の違いや地域の習慣を考慮しなければ、不自然な翻訳になってしまうでしょう。
たとえば、日本語は目上の方に対して敬語を使うのが一般的ですが、英語には敬語がありません。
自然な翻訳を行うためには、文化的な背景を考慮しつつ、適切な表現を選ぶことも必要でしょう。
専門分野の知識を身につける
当たり前と感じるかもしれませんが、専門分野の翻訳には専門知識の勉強が欠かせません。
一般的な単語や表現は辞書でも調べられますが、業界の専門用語やトレンドは自ら調べないとわからないケースが多いです。
専門分野の知識を身につけるには、次のような方法があります。
● 関連書籍や論文を読む
● 専門家に教わる
● 専門学校や大学などの講義に参加する
また、場合によっては専門用語を一般的な単語に置き換える作業も必要です。
たとえば、医療分野は非常に専門性が高く、現場でよく使われる用語は一般の方には聞き馴染みがありません。
自然な翻訳をするには、専門知識への深い理解と共に、想定される読者レベルに合わせた表現をすることが理想です。
専門知識を身につける際は、インターネットのみの情報でなく、専門家のセミナーや講義に参加するのもよいでしょう。
翻訳ツールが理解できる文章に置き換える
翻訳のサポートとして翻訳ツールを使用する場合、ツールが対応しやすい簡単な日本語に置き換えておくと精度が高くなります。
翻訳精度が向上したといっても、日本語は難しい言語のため、抽象的な文章では正しい翻訳ができません。
翻訳ツールを使用する際は、下記のポイントを意識してみましょう。
● 翻訳エンジンが理解できる簡単な日本語にする
● 一文を20文節程度の長さに調整する
● これ・それ・あれ・どれなどの指示語は使わない
翻訳ツールは、誤字や脱字、主語の欠落の判断ができないため、原文に誤りがあると正しい翻訳ができません。
特に人間が読んでも「ん?」と感じる文章は、翻訳ツールではうまく翻訳できないでしょう。
また、長い文章や短い文章も翻訳ツールは正しく翻訳できないため、適切な文節に分けておく必要があります。
翻訳ツールを使用する場合は、具体的かつ簡潔な文章に置き換えてから翻訳させるとある程度自然な文章が出力されるでしょう。
翻訳スキルを磨く方法
翻訳スキルを磨くには、独学よりもプロの翻訳家に教わるほうが効率的に学べます。
たとえば、現役翻訳家が講師を勤めている翻訳学校や通信講座は、教養だけでなく実践でも活用できる翻訳スキルが身につけられるでしょう。
ここからは翻訳スキルを磨く方法を4つ紹介します。
翻訳学校に通う
翻訳学校では、現役の翻訳家が講師を務めていることがほとんどです。
体系的な翻訳スキルはもちろん、翻訳業界のトレンドも踏まえた講義は、独学では得られない体験となります。
学べるカリキュラムは通う翻訳学校によって異なりますが、フェロー・アカデミーでは個人のキャリアプランに合わせて下記のような学び方ができます。
● 初心者から金融翻訳家を目指したい→「翻訳入門」、初級「実務基礎」、中級「経済・金融」、上級「経済・金融ゼミ」
● 出版と映像翻訳家を目指したい→初級「出版基礎」、初級「映像基礎」、中級「出版総合演習」、中級「吹替・字幕」
● 子ども向けの本を訳したい→初級「出版基礎」、中級「児童文芸」、上級「こだまゼミ」
上記は一例ですが、翻訳学校では自分の学びたい分野、伸ばしたいスキルを選択し、経験豊富な講師から直接指導が受けられます。
また、同じく学んでいる受講生同士で知識やノウハウを共有できるのも翻訳学校に通うメリットの一つです。
翻訳通信講座を利用する
仕事や学業、子育てなどで学校に通うのは難しい方は、通信講座の活用がおすすめです。
通信講座なら場所を選ばず、料金も通学より安いので、自分のペースで翻訳スキルを磨きやすいでしょう。
通信講座はテキストや動画教材などを活用して、自分でカリキュラムを進めていくため、自己管理ができないとスキルが身につきません。しかし、自分で学習スケジュ―ルがしっかりと組めれば、翻訳家として働く際のスケジュール管理スキルが身につきます。
自分のペースで翻訳スキルを学びたい方は、翻訳通信講座の利用も検討してみるとよいでしょう。
翻訳に関する資格を取得する
翻訳家になるのに資格は必要ありませんが、取得しておくと高い翻訳スキルを持っている人材として評価されやすいです。
英検など語学力を測る資格はもちろん、翻訳業界で開催されている検定試験も存在します。
● 英検
● TOEIC
● JTFほんやく検定
● 翻訳実務検定(TQE®)
● 定例トライアル(翻訳者ネットワーク「アメリア」)
● JTA公認 翻訳専門職資格試験
● 知的財産翻訳検定試験
翻訳案件のなかには、TOEIC900点以上やビジネス中級以上の英語力など、条件が設定されているケースもあります。
上記に挙げた資格はほんの一部ですが、翻訳の基礎的な知識やスキルを有している翻訳家として客観的に証明できるでしょう。
翻訳家として就職する際や、案件を獲得する際に有利に働く可能性もあるので、スキルアップを目指すなら翻訳資格の取得もおすすめです。
翻訳家のコミュニティに参加する
翻訳家が参加しているコミュニティに参加すると、自分だけでは知り得なかったノウハウや知見に出会える可能性があります。
参加するコミュニティの運営方法や規模にもよりますが、翻訳初心者からベテラン、専門性の高い翻訳家など、さまざまなタイプの翻訳家と交流できるでしょう。
自分の専門分野に近い翻訳家と交流できれば、業界のトレンドやアドバイスなど情報共有できるのもコミュニティのメリットです。
翻訳家コミュニティは、会員限定のクローズコミュニティや有料サロン、SNSのサークルなど、運営母体がたくさんあるので、自分に合う場所を探してみてください。
まとめ
翻訳には語彙力だけではカバーできない、さまざまな難しさがあります。
翻訳が難しいと感じる理由は人それぞれですが、抽象的な単語をどう訳すか、文脈や比喩表現をどう読み取るかが特に難しい点ではないでしょうか。
また、専門性の高い原文であればあるほど難易度は高く、正しい翻訳をするのが難しいと感じるかもしれません。
翻訳が難しいと感じたときは、単語のみでなく文章全体の意図を理解するのが大切です。
大枠の翻訳を行うためにツールを使用する際も、一度簡単な日本語に置き換えておくと精度の高い翻訳ができるでしょう。
これからも翻訳家として活躍を目指すのであれば、翻訳学校や資格取得などでスキルアップを目指すのもおすすめです。
翻訳作業をしながらのスキルアップは大変ですが、乗り越えられれば言語間のコミュニケーションを橋渡しできる楽しさを改めて感じられるでしょう。
最速で翻訳家になるなら翻訳学校がおすすめ
最速で翻訳を学ぶなら、翻訳学校がおすすめです。
翻訳学校であれば専門知識と業界経験を持った講師による指導を受けることができ、学習中の疑問点をすぐに解決できます。
また最適化されたカリキュラムのため無駄がなく、効率的に学ぶことが可能です。
「フェロー・アカデミー」ではライフスタイルやレベルに合わせて講座を選ぶことができ、必要な知識やスキルの習得、仕事獲得までサポートが受けられます。
学校パンフレット(電子ブック)をPDFで閲覧できますので、最速で翻訳家を目指す方はぜひお気軽に資料請求ください。
この記事の監修
その後、翻訳者を志し退職、フェローアカデミーの「ベーシック3コース」を修了し、翻訳者として5年間活動した後、翻訳者ネットワーク「アメリア」立ち上げに参画、理事長/代表取締役に就任。