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翻訳コーディネーターの仕事内容とは?
キャリアパスや向いている人の特徴

翻訳コーディネーターは主に翻訳会社内の職種を指します。翻訳者と翻訳の発注元であるクライアント企業の間に立って翻訳の品質管理やスケジュール調整など担う重要な役割です。
一つの翻訳案件を「プロジェクト」と呼ぶことが多いため、プロジェクトマネージャー(PM)という肩書がつくこともあります。

プロジェクトをスムーズに進めるための調整役といえる翻訳コーディネーターですが、その仕事内容について具体的にわからない方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では翻訳コーディネーターの仕事内容ややりがい、求められるスキルについて詳しく解説します。

翻訳コーディネーターの平均年収や求人の探し方もご紹介しますので、最後までぜひご覧ください。

 

翻訳コーディネーターの仕事内容ややりがいとは?

翻訳コーディネーターは、翻訳会社の中で翻訳者とクライアント企業を結ぶ大切な役割を担っており、関係者のスムーズなコミュニケーションをサポートしながら翻訳プロジェクトの進行管理や品質管理を行います。

ここからは翻訳コーディネーターの仕事内容ややりがいについて確認してみましょう。

翻訳者とクライアント企業を結ぶ大切な役割

翻訳コーディネーターは、クライアントから翻訳の依頼を受けたら適切な翻訳者を手配し、翻訳をクライアントに納品するまで全ての工程を管理します。
グローバル化が進む現代社会において翻訳コーディネーターの需要は高まっていて、特に質の高い翻訳を求める企業にとって頼れる存在でもあります。

翻訳プロジェクト、ひいてはビジネスの成功を支える縁の下の力持ちとして非常にやりがいのある仕事だといえるでしょう。

業務の流れ

翻訳コーディネーターの業務は、一般的に以下のような流れで進行します。

  1. 翻訳案件の受注: クライアントから翻訳の依頼を受け、内容や求める品質、納期、予算などの要件を確認します。
  2. 翻訳者の選定: 要件にふさわしい翻訳者を選定し、翻訳を依頼します。
  3. 進行管理: 翻訳者の作業進捗を確認し、納期内に納品できるよう調整します。
  4. 品質管理: 納品された翻訳原稿を確認し、必要に応じて修正を依頼します。
  5. 納品と報告: 最終的な翻訳物をクライアントに納品し、プロジェクトの完了報告を行います。

クライアントのニーズを正確に把握し、翻訳者に必要な指示や情報提供を行い、クライアントからの追加要求や翻訳者からの質問に適宜応じながらスムーズに進行するよう取り計らいます。

請求処理やアフターフォローなどを引き受けるケースもあります。

翻訳コーディネーターの将来性とは?AI翻訳の影響はある?

AI(機械)翻訳の進化によって一部の翻訳作業が自動化されている現場もありますが、翻訳コーディネーターの需要は高まっています。

需要が高まっている理由は、翻訳プロセスに選択肢が増えたことでクライアントの要求が多様化しているためです。

社内文書など限られた範囲で使用する文書であれば、機械翻訳ツールを活用しつつ人のチェックは最低限に抑えることで、価格を抑えたりスピードを優先したりできます。
多くのユーザーが目にし、その文書が企業のサービスやビジネスそのものに影響を与えるような場合は、正確さだけでなく目的や用途にマッチした言葉選びが求められるため、人の手を介した高品質な翻訳が要求されます。

クライアントが求める翻訳の品質を、ヒアリングを通じてしっかり理解し、それにあった品質、価格、納期の提案ができるコーディネーターが必要となります。

翻訳コーディネーターはどんな人が向いている?

翻訳コーディネーターは、プロジェクトを円滑に進めるために幅広い業務を担います。
特にクライアントと翻訳者のコミュニケーションサポートでは、トラブル発生時に双方の間に立って迅速に問題解決できる高度な伝達スキルや折衝スキルが必要であり、人によって向き不向きがあります。

ここで翻訳コーディネーターが向いている人、向いていない人の特徴を解説します。

翻訳コーディネーターが向いている人の特徴

翻訳コーディネーターが向いている人は、以下のような特徴を持っています。

  • 冷静な問題解決能力
  • 高いコミュニケーションスキル
  • スケジュール管理能力
  • 柔軟性
  • 多文化へ理解がある
  • 責任感がある

翻訳コーディネーターは、クライアントや個人翻訳者だけでなく、社内の営業担当や翻訳チェック担当など、多くの人と関わりながら翻訳プロジェクトを進行します。
問題が起こった時に、それぞれの役割を理解した冷静な問題解決とコミュニケーションができる人のほうが翻訳コーディネーターとして活躍できるといえます。

また、複数プロジェクトを同時進行するケースも多いため、スケジュール管理能力や柔軟性があるとスムーズに業務が進められるでしょう。

クライアントが海外企業というケースもあるので、各国のビジネス慣習の違いを踏まえた対応ができる方も、翻訳コーディネーターに向いているといえます。

翻訳コーディネーターが向いていない人の特徴

翻訳コーディネーターは細かい調整が必要なために多忙となる状況やプレッシャーのかかる状況があります。
そのため、以下の特徴に当てはまる方は、翻訳コーディネーターには向いていない可能性があります。

  • 一人での作業を好む
  • ストレス耐性が低い
  • 臨機応変な対応が難しい
  • 計画性がない

翻訳コーディネーターはさまざまな立場の人と関わりながら業務を遂行する必要があるため、一人で完結する作業を好む方には不向きな職種といえるでしょう。
また、状況に応じた柔軟な対応が求められるほか、納期管理やトラブル対応などでストレスがかかる場面も多いため、プレッシャーに弱い方は負担を感じやすいかもしれません。

翻訳コーディネーターに求められるスキル

ここからは翻訳コーディネーターに求められるスキルについて確認していきましょう。

コミュニケーションスキル

翻訳コーディネーターは、クライアントの意図を正確に把握し、翻訳者に明確な指示やフィードバックをしなければなりません。
そのため、傾聴力や適切な伝達力が求められます。

特に翻訳者とは、翻訳の品質を担保するために迅速に疑問点を解消したり修正内容を伝えたりと、綿密なコミュニケーションが必要です。
またプロジェクトによっては、翻訳者とクライアント以外に、社内スタッフとも連携して仕事を進めるシーンもあります。

語学スキル

翻訳コーディネーターに求める語学スキルは翻訳者や翻訳チェッカーほど高くはありませんが、高いほうがクライアントの要求理解がスムーズです。

最近はコーディネーターが納品された翻訳物のチェックやポストエディット業務(機械翻訳出力後の修正や編集)を兼任するケースが増えており、TOEICスコアを要求する企業は800点~850点以上を応募条件として挙げる傾向があります。
海外のクライアントを抱えている翻訳会社で働くのであればなおのこと、ビジネスレベルの語学スキルは必須でしょう。

校閲スキル

翻訳者から納品された翻訳文は基本的に翻訳チェック担当者が確認しますが、一次チェックとして翻訳コーディネーターが校閲するケースもあります。
誤字脱字はもちろん、クライアントの意図に沿わない表現がないか、用語が統一されているかなど、より良い翻訳にするために校閲スキルが必要です。

具体的には、下記のような校閲スキルが求められます。

  • 誤字脱字チェック
  • 誤訳、訳抜けチェック
  • 用語統一
  • クライアントの指示や指定準拠

校閲スキルを身につけるなら、書籍やスクールで学んだり翻訳対象となる分野に関する知識を増やしたりと、日頃からできることに取り組んでみるとよいでしょう。

ビジネススキル

クライアントと翻訳者のコミュニケーションを橋渡しする翻訳コーディネーターは、基本的なビジネススキルを身につけておく必要があります。

たとえば、スケジュール管理や納期調整、交渉力、問題解決能力は、翻訳コーディネーターに求められやすいスキルです。
また、チャットやメール、各種オフィスソフトなど、PCやツールの扱いに慣れておく必要もあります。
ビジネススキルは実務を通して磨かれるものですが、書籍やセミナーなどで学ぶのもおすすめです。

翻訳コーディネーターに転職するコツ

ここからは翻訳コーディネーターへの転職を考えている翻訳者の方のために、平均年収や求人の探し方について解説します。

翻訳コーディネーターの平均年収

翻訳コーディネーターの平均年収は、一般的に300〜600万円程度とされています。
専門性の高い分野の場合は、年収800万円以上になるケースもあり、全年代の平均年収である426万円よりも高い年収が期待できるでしょう。

翻訳コーディネーターの経験がなくても、プロジェクト管理の経験や法人営業の経験などは活かしやすいかもしれません。
これから翻訳コーディネーターを目指すなら、年収だけでなく応募資格もチェックしてみてくださいね。

翻訳コーディネーターの求人の探し方

翻訳コーディネーターの求人を探すなら、転職エージェントや求人サイトを利用するとよいでしょう。
転職エージェントは、利用するサービスによって特徴が異なるため、複数のエージェントに相談しておくと多くの情報を手に入れられます。

求人サイトは、大手求人サイトのほか、翻訳者ネットワーク「アメリア」日本翻訳連盟など翻訳に特化したサイトで探すことができます。
翻訳コーディネーターの求人が常に掲載されているとは限りませんが、定期的にチェックすれば条件の良い案件が見つかることもあります。
また翻訳コーディネーターに近い職種名として、プロジェクトマネージャーや品質管理責任者があり、企業によって業務内容が類似している場合があるため、求人情報をよく確認することをおすすめします。

翻訳コーディネーターはフリーランスとして独立できる?

翻訳コーディネーターは翻訳会社の社員として就業しているケースが多いです。
求人サイトを確認すると、正社員や契約社員といった直接雇用、または派遣社員での募集が多いようですが、まれに業務委託契約の募集もあります。

将来フリーランスを目指したいなら、何年か経験を積んだあとに独立できる可能性がないか、応募時や面接の時に確認してみると良いでしょう。

まとめ

翻訳コーディネーターは、翻訳者とクライアントの間を取り持ち、プロジェクトを円滑に進める縁の下の力持ちです。
コミュニケーション力や語学スキル、ビジネススキルなど、幅広いスキルが求められますが、その分やりがいも大きな職種といえます。

翻訳コーディネーターの仕事に興味を持った方は、求人情報で応募条件やスキルを確認し、今の仕事で活かせそうなスキルを身につけてから転職活動をするのもおすすめです。

翻訳家を目指すならフェロー・アカデミーへ!

翻訳スキルを学ぶなら、翻訳学校がおすすめです。
翻訳スキルを身につけることは今回ご紹介した翻訳コーディネーターの仕事理解にもつながるでしょう。将来、翻訳者を目指すという道も広がります。

翻訳学校であれば専門知識と業界経験を持った講師による指導を受けることができ、学習中の疑問点をすぐに解決できます。
また最適化されたカリキュラムのため無駄がなく、効率的に学ぶことが可能です。

「フェロー・アカデミー」ではライフスタイルやレベルに合わせて講座を選ぶことができ、必要な知識やスキルの習得、仕事獲得までサポートが受けられます。

学校パンフレット(電子ブック)をPDFで閲覧できますので、最速で翻訳家を目指す方はぜひお気軽に資料請求ください。コース別の説明会、プラン選びのための学習カウンセリングも実施しています。

この記事の監修

フェローアカデミー理事長 室田陽子
フェローアカデミー理事長室田 陽子
学習院女子短期大学卒業後、株式会社サンリオに入社。4年間グリーティングカードの企画に携わる。
その後、翻訳者を志し退職、フェローアカデミーの「ベーシック3コース」を修了し、翻訳者として5年間活動した後、翻訳者ネットワーク「アメリア」立ち上げに参画、理事長/代表取締役に就任。

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