担当講師
- 倉田 真木
- Maki Kurata
出版翻訳家。『絶海――英国船ウェイジャー号の地獄』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』『【閲覧注意】ネットの怖い話クリーピーパスタ』『千の顔をもつ英雄〔新訳版〕』(早川書房)、『ジョーゼフ・キャンベルの神話と女神』(原書房)、『幸せを呼ぶユニコーンの見つけ方』『リー・クアンユー、世界を語る』(サンマーク)、『ザ・ギフト』『恋に落ちる方法』『ドリームガールズ』『ベオウルフ呪われし勇者』(小学館)、『デイ・アフター・トゥモロー』(メディアファクトリー)、『メディカルハーブ事典』『ビジュアル宇宙大図鑑』(日経ナショナルジオグラフィック)、『シュガー・ラッシュ』『くまのプーさん』『トイ・ストーリー3 』(偕成社)など訳書・共訳書多数。
講師からのメッセージ
翻訳をする際、原文から和文に置き換えるだけでは不十分です。的確な翻訳をするためには、きちんとした原文解釈とその背景の理解、そして適切な表現をする力が求められます。そのために不可欠なのが、「リサーチ」です。
たとえ一般読者向けの読み物でも、背景を理解するためのリサーチが欠かせません。たとえば、英語の「
break a leg」は、「脚を折る」ではなく「がんばれ」という意味で、これから舞台に立つ役者やパフォーマーへのエールとして送る慣用表現です。直接「がんばれ」と言えばいいのにと考えたくなりますが、
OEDによると語源には諸説あるそうですが、「
good luck」と呼びかけてしまうとそれと逆のことが起こると考えられていたため、あえてネガティブな表現をすることで幸運を招こうとする縁かつぎなのだそうです。そうしたことをリサーチせずに、文字どおりネガティブに訳してしまうと、どうなるかは言わずもがなですよね。
リサーチをする際には、信頼できる情報源を活用することも大切です。近年は、辞書や参考書だけでなく、ネット情報も上手に取捨選択することが求められるようになりました。その際、たくさんヒットしたサイトの中でどれを選ぶかという判断基準も必要です。本講座では、演習形式で受講生のみなさんが工夫されたリサーチ方法について、シェアしディスカッションすることで、さらに洗練された翻訳へとつなげます。
リサーチは、翻訳の精度を高めるためだけでなく、読者に正しい情報を届けるための翻訳者の責任でもあります。たえず探究心をもってリサーチする姿勢を忘れずに、質の高い翻訳を目指しましょう。