業界の第一線を走るプロたちが翻訳の仕事の舞台裏を披露します。
AAA(トリプルエー)と呼ばれる大型タイトルから小規模なインディーゲームまで、いまや多種多様なゲームが世界各国のユーザーに親しまれています。その過程でなくてはならないのが、ローカライズといわれる他言語版の翻訳制作を行う会社と、その会社やゲーム開発者から仕事を受注する翻訳者の存在です。1つのゲームが日本語版になるまでに、どんな工程があるのでしょうか?
このイベントではゲーム業界で話題のタイトルを多く手がけてきた制作会社や翻訳者の方々が、海外ゲームの日本語版ができるまでのプロセス、翻訳者の仕事の実状、これから翻訳者になりたい方へのアドバイスなど、貴重なお話の数々を披露します。
そして後半には翻訳のミニレッスンを実施。ゲーム内のセリフなどを想定した短い課題文をとりあげ、参加者の訳文の中からさまざまな例を紹介しながら、プロの翻訳者ならどう考えてどう訳すかを解説します。
さまざまな立場からの経験談が聞けて仕事のイメージが深まり、翻訳の真髄にも触れられる盛りだくさんの120分。自分の語学力やゲームのプレイ経験を活かして好きなことを仕事にしたいと思っている皆さん、まずはこの機会にゲーム翻訳の世界を気軽にのぞいてみませんか?
※2月に開催したイベント「ゲーム翻訳座談会(ミニレッスンつき)」のアーカイブ動画の再配信となります。
主な内容
・ゲームローカライズ全体の仕事の流れ
・翻訳者の働き方や受注するゲームの種類
・翻訳の仕事を獲得するルート
・やりがいのあること、大変なこと
・登壇者が翻訳・制作に携わったゲームの翻訳エピソード
・ミニレッスン解説
受講者の声(イベント開催時のアンケートより)
――想像以上にためになる講座で、受講して本当に良かったです! まだ翻訳の勉強を始めたばかりなのですが、これから学習を進める上でのプランが明確になりました。今までは「ゲーム翻訳者」になりたいという気持ちだけで勉強していましたが、具体的にしなければならないこと、今の自分に足りないところを本講座を通じて理解することができてとてもよかったです。
――4名の登壇者の方々が異なる立場から、それぞれが担当されているお仕事ややりがいについて率直にお話しいただいたので、大変参考になりました。また同時に、ゲーム翻訳という世界への興味がさらに強まった気がします。将来目指す1つの翻訳者像としてゲーム翻訳を本気で視野に入れて考えてみようかなと思うようになりました。
――実際の作業方法、訳し方、仕事の獲得の仕方、勉強方法など知りたかったことを知ることができて非常に満足しております。たとえば、翻訳作業に使用するファイルのイメージを見せていただいたおかげで、作業時の具体的なイメージをつかむことができました。ミニレッスンの訳し方についても、実践的な内容を学ぶことができて勉強になりました。事前に取り組んでいた際には意識していなかった点に気づくことができ、大変有意義でした。どのようにして仕事を獲得したかの情報も、今後のキャリアプランを考えるうえで参考になりました。
講師(イベント登壇者)

谷口 新菜 Niina Taniguchi
株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)シニアローカライズスペシャリスト兼マネージャー。国際基督教大学卒業後、渡米し美大で4年間学んだ後、2005年に帰国し英日フリーランス翻訳者として活動開始。2006年にソニー・コンピュータエンタテインメント(現SIE)に所属し、現在に至るまで数々のAAA作品のローカライズを担う。代表作品に『Detroit: Become Human』『Marvel’s Spider-Man』『The Last of Us Part II』など。
ブレンドン・プリチャード Brendon Pritchard
株式会社IMAGICA GEEQ ローカライズ部 ゼネラルマネージャー。2010年に株式会社ディー・エヌ・エーに翻訳者として入社し、その後有限会社ハチノヨンでローカライズマネージャー、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントでグローバルプロジェクトコーディネーターを務めたのち、現在IMAGICA GEEQでローカライズ、音声収録、LQAなどの業務に携わる。ローカライズに携わった主なゲームシリーズに『モンスターハンター』、『テイルズ オブ』、『ファイアーエムブレム』などがある。
武藤 陽生 Yosei Muto
ゲーム、出版翻訳者。29歳のとき『深夜特急』に影響されて出たひとり旅の途上で翻訳に目覚める。帰国後フェロー・アカデミーの出版翻訳コースを受講し、その傍らでゲーム翻訳会社に勤務。その後フリーランスとして独立し、ゲーム翻訳と出版翻訳に携わる。主な翻訳作品として、ゲームでは『Va-11 Hall-A』、出版では「刑事ショーン・ダフィ・シリーズ」などがある。
大江 昌道 Masamichi Oe
フェロー・アカデミーで出版翻訳を学んだのち、アメリアの求人を通じてゲーム翻訳の仕事を開始。約10年にわたりフリーランス翻訳者として活動した後、2014年に株式会社キーワーズ・インターナショナルのローカライズ部門に入社し、当初は同社の社内翻訳者として、その後同社のリード・リングイスト兼リングイスト・コーディネーターとして社内翻訳チームを統括。現在は再びフリーランス翻訳者として様々なゲームのローカライズを担当。翻訳に携わったタイトルに『アサシン クリード ミラージュ』『Ghost Recon Breakpoint』『ハースストーン』『ディアブロ IV』『Frank and Drake』『Alien: Isolation』などがある。