安野美奈子さん
米国コロラド州立大学工学部卒。ITベンダー勤務を経て、2009年秋にフェロー・アカデミー入学。ベーシック3コース修了後、通学・通信講座で映像翻訳を学び、現在は上級(ゼミ)「アンゼゼミ」受講中。
米国コロラド州立大学工学部卒。ITベンダー勤務を経て、2009年秋にフェロー・アカデミー入学。ベーシック3コース修了後、通学・通信講座で映像翻訳を学び、現在は上級(ゼミ)「アンゼゼミ」受講中。
長年、IT技術者をしていた安野美奈子さんは「一生続けられる仕事がしたい」と、 30代半ばで会社勤めに終止符を打った。考えた末に行き着いた答えは、米国留学で培った英語力が生かせる翻訳。どんな翻訳が向いているのかを確かめるべく、2009年秋にフェロー・アカデミーのベーシック3コースを受講した。 「出版、実務、映像をひととおり勉強し、一番面白かったのが映像翻訳でした。もともと映画が好きで字幕に興味がありましたし、吹替の魅力に気づけたことも大きかったです」
2010年から11年にかけての1年間は、通学講座と通信講座をダブル受講。通常の倍の課題をこなし、字幕や吹替のスキルを頭に叩き込んだ。修了後には、翻訳者ネットワーク「アメリア」で見つけた映像翻訳会社の求人に応募。アルバイトとして採用され、字幕チェックを1年間担当した。 「字幕制作ソフトの操作を含め、基本を勉強していたからこなすことができました。アルバイト終了時には翻訳者として登録でき、嬉しかったですね」
2012年春以降は通学を再開し、現在もゼミクラスに在籍中。現場経験と学習の積み重ねは、安野さんを着実に成長させている。 「今は課題であっても、仕事と同じ意識で取り組んでいます。作品全体を見渡し、視聴者にわかりやすく伝えるにはどう訳せばいいかを考えられるようにもなりました」
昨年夏、登録先の翻訳会社から初仕事(ライブのMC部分の字幕)を受注。以降、映像翻訳会社の仕事を請けている。また今年3月に受講した短期集中講座がきっかけで、別の翻訳会社からもナレーション翻訳を依頼された。 「仕事をしていると『先生が言っていたのはこういうことか』と納得することが多いんです。逆に何か迷ったりしたら、授業で先生に確認します。いい循環になっていると思いますね」
授業で現役プロの指導を受けると、「正解がない翻訳の世界で、より正解に近づくためのヒントを教えてもらえる」。ゼミクラスでの勉強を続け、仕事の実績を重ね、「いつか単館系の映画を訳せるようになれたら」と安野さん。フェローで一生続けられる仕事を手にしたのは間違いないようだ。
『通訳翻訳ジャーナル AUTUMN 2013』(イカロス出版発行)より転載
(Text 金田修宏 Photo 今野光)