山口浩司さん
長野県出身。大学卒業後、アイルランドへの語学留学、地元でのマニュアル制作会社勤務を経て上京し、カレッジコースに入学。推薦制度を利用して都内の翻訳会社に就職し、翻訳業務全般に2年間携わる。独立後の現在は地元に戻り、フリーの翻訳者(Bridgeman)として仕事を受注している。
翻訳をしたい気持ちが強くなり、地元の会社を退職して上京
すべての授業が血となり肉となった1年間
翻訳に興味を持ったきっかけはいくつかありますが、一番大きかったのは、語学留学先のアイルランドで知り合ったイタリア人の友人に、日本人アーティストの歌詞を英訳したら喜ばれたことです。まさに翻訳は異なる言葉や文化の架け橋だ、とその魅力を実感しました。
帰国後、地元のマニュアル制作会社で、多言語のローカライズを扱うプロジェクトマネージメント業務を2年間担当しましたが、日々の業務をこなす中、やはり翻訳自体をやりたいという気持ちが強くなってきたため、一念発起して退職。上京してカレッジコースに入学しました。
コースでの1年間を振り返ると、すべての授業が今の自分の血となり肉となっています。「実務基礎」ではIT、メディカル、機械、経済などさまざまな文章が課題になり、特に無生物主語の訳し方を学んだことで目から鱗が落ちました。今でも実務系の翻訳をする際にはテキストを読み返すことがあります。また一番楽しかった科目は「出版基礎」で、毎回プロの翻訳者である講師の訳文と自分の訳文の圧倒的な差に打ちのめされましたが、プロに求められるレベルや心構えなど、数多くのことを学びました。
実務、出版、映像の3分野を学んだことが翻訳会社の業務に役立った
現在は地元に帰郷し、複数の翻訳会社から仕事を受注
後期には企業説明会があり、複数の翻訳会社の話を聞けたので、自分の応募先を決めるうえで参考になりました。この説明会がきっかけで東京の翻訳会社に採用され、修了後はそこで翻訳業務全般(翻訳、レビュー、品質管理、ベンダーコーディネートなど)を担当するリードトランスレーターを2年間つとめました。実務、出版、映像の3分野すべてをまんべんなく学習したおかげで、分野ごとのルールや注意点の違いが分かり、仕事のうえで助かった場面がいくつもありました。たとえば、フィットネスビデオなどのスクリプト翻訳を担当したときは映像翻訳の知識が役に立ちましたし、マーケティング翻訳では出版翻訳の表現方法を応用できました。
現在は退職して地元長野県へ帰郷し、フリーランス翻訳者として独立。前職でお世話になった会社も含めて、トライアルに合格した複数の翻訳会社に登録し、広告、観光、IT、自動車など、主にマーケティング系の仕事を受注しています。また、帰郷後に参加した地元のイベントでできたつながりをきっかけにして、フレンチレストランのメニューを英訳したこともあります。今後は、文芸分野へのシフトを図りつつ、地元の活性化に少しでもつながるような仕事を増やしていければと考えています。
カレッジコースに通ったことで、同じ志を持つ仲間とのつながりができたことも大きな収穫です。東京を離れてからは会える機会がめっきり減ってしまいましたが、今後もSkypeを使った勉強会をするなど、交流を続けていくつもりです。