鈴木和博さん
2012年度修了生。10年あまりシステムエンジニアをつとめたのち、カレッジコースに入学。修了間際に翻訳会社のトライアルに合格し、現在はフリーランスでIT関連の英日・日英翻訳を手がけるほか、ナショナル ジオグラフィックのWebニュースの翻訳も定期的に担当している。2016年には初の訳書『世界の美しい地下鉄マップ』を上梓。
長年のシステム関連職から翻訳者への転身を決意
仕事としての翻訳の進め方を学べたことは大きかった
10年ほど航空関係のシステム開発会社で勤務し、その後フリーランスのシステムエンジニアとなったものの多忙をきわめ、何か別にできることを探すうちに浮かんだのが翻訳でした。以前から英語の小説をずいぶん読んでいましたし、IT関係の知識も役に立つと思ったからです。とはいえまったく未体験の世界だったので、まずは一番じっくり学べるカレッジコースを選択しました。
受講中もシステムエンジニアの仕事は時間を減らして続けていたので、授業に出たあと仕事場に寄ってから帰宅し、夜か午前中の空き時間で課題に取り組む日々でした。授業では業界の第一線で活躍されている先生方のお話を聞けたことで、調べ物の重要さや、どういう場合に申し送りが必要かなど、仕事としての翻訳の進め方まで学習できたことは非常に大きかったと思います。
一番印象に残っている科目は「ビジネスコミュニケーション」です。この科目で先生によい評価をいただいたことで、仕事でも日英翻訳に挑戦したいと思うようになりました。それから、特にIT関係の翻訳では翻訳支援ツールを使う場合がほとんどなので、その使い方を実際に学べたことも重要な経験となりました。
コース修了前から実務翻訳の仕事を始め、その後は出版翻訳も。
1年じっくりと学んだことがフリーになる一番の早道だった
フリーの翻訳者を目標に、受講中から未経験で応募できる求人をアメリアで探し、秋から冬にかけて4社ほど翻訳会社のトライアルを受けました。その結果、英日で1社、日英で1社に登録でき、コース修了前の2月頃には初仕事をいただきました。その後も、翌年度に受講した上級「IT・テクニカルゼミ(現「IT・マーケティングゼミ」)」の先生に会社を紹介していただいたり、アメリアの定例トライアルでクラウン会員になったことで会社からスカウトしていただいたりと登録先を増やしていき、1年目から翻訳をメインに生計を立てることができました。
翻訳会社にはIT専門の翻訳者として登録していますが、実際はマニュアルや品質文書、仕様書など幅広い文書に対応していて、特に最近は専門性に加え読みやすさが求められる案件も多く手がけています。また、将来的に出版翻訳を目指したいという思いもあったので、出版翻訳の中級講座にも通いました。先生からノンフィクション書籍の下訳をさせていただく機会もあり、直接フィードバックを受けながら少しずつ成長できた実感があります。2016年に上梓した『世界の美しい地下鉄マップ』を訳したときはさまざまな都市の地名や歴史について事実確認をしましたが、ノンフィクションの下訳で調べ物をして事実を踏まえた訳を作った経験がこの仕事に活かせたと思います。今後も出版分野には積極的に挑戦し、ゆくゆくは小説なども訳してみたいです。
自分にとっては、初めに1年かけて基礎をじっくりと学んだことが未経験の状態からフリーの翻訳者となる一番の早道だったと思えるので、カレッジコースから始めるという選択は正解でした。学習を通してその後ずっと仕事をしていくベースができますし、この経験は何倍にもなって返ってくると思います。
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