近江美佐さん
大阪女学院短大英語科、米グウィネット・テクニカル・インスティテュート卒。英語講師などを経て、フェロー・アカデミーに約2年通学。兵庫県に転居後、通信マスターコース「フィクション」「児童文芸」などを修了。現在、出版翻訳家として活躍中。最新訳は『沿岸と20万年の人類史』(一灯舎)。
大阪女学院短大英語科、米グウィネット・テクニカル・インスティテュート卒。英語講師などを経て、フェロー・アカデミーに約2年通学。兵庫県に転居後、通信マスターコース「フィクション」「児童文芸」などを修了。現在、出版翻訳家として活躍中。最新訳は『沿岸と20万年の人類史』(一灯舎)。
故郷・兵庫県に暮らしながら、出版翻訳に携わる近江美佐さん。30代の頃に好きな英国人アーティストの日本語訳詞の素晴らしさに感銘を受け、翻訳に興味を持ったそうだ。地方では通学するチャンスはなかったが、40歳のときに旦那さんの転勤で埼玉県に転居。運を感じつつ、「アットホームな雰囲気に安心感を覚えた」というフェロー・アカデミーで翻訳学習を始めることにした。
手始めに「翻訳入門」を受けたところ、表現力の不足を痛感。「出版基礎」を経て、「フィクション」と「出版総合演習」をダブル受講し、幅広い出版ジャンルのそれぞれにあった文体や表現、雰囲気づくりを学んだ。
「『フィクション』の講座ではミステリの短編の全訳や先生が受けた仕事の下訳にも取り組み、全体の流れを把握して訳語を選ぶことや、時間をおいて推敲することの大切さ、体や心の『動き』を訳すコツを教えていただきました。翻訳にいっそう夢中になり、授業が楽しくて仕方なかったです」
故郷でデビューを果たし
今年、文化奨励賞を受賞
ところが通学を始めて約2年後、兵庫へまた戻ることに。近江さんは通信講座に切り替え、最上級のマスターコースを受講してプロの手ほどきを受けた。
「先生方の指導は的確かつ丁寧でわかりやすく、紙でのやり取りに変わっても何の不自由さも不満も感じなかったですね。過剰に表現してしまう私のクセを根気強く指導してくださり、親身にアドバイスしてくださいました」
受講のかたわら、通学時代のクラスメートの紹介で仕事も始めた。雑誌やコミックなどの翻訳を手がけ、2013年には初の書籍翻訳となる『世紀の名作はこうしてつくられた』を上梓。今年3月には2冊目となる歴史書も発売になり、その翻訳活動が評価されて6月、淡路文化協会文化奨励賞を受賞した。
「生まれ育った淡路島で表彰していただいたことを、とてもうれしく思います。頂いた仕事に精いっぱい取り組み、実力を磨いて、いずれは児童書やヤングアダルトも訳してみたいです」
通学講座から通信講座に切り替えても、「学習上のハンデは感じなかった」と近江さん。生活環境に合わせて学びのスタイルを変え、精進を重ねた熱意は、今後もさまざまな実を結ぶに違いない。
『通訳翻訳ジャーナル AUTUMN 2016』(イカロス出版発行)より転載
(Text 金田修宏)
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