三樹愛さん
大学の英米文学科を卒業し、中学・高校で2年間教員をしたのち、2014年にカレッジコースへ入学。推薦制度を利用して、IT・マーケティング関連の翻訳などを手がけるSDLジャパンに就職し、現在トランスレーターとして翻訳・チェックなどに携わる。
1年間であらゆる分野を徹底的に学べるカレッジコースは
学習に没頭できる理想の場所だった
この業界に憧れを抱いたきっかけは、大学の英文科にいた頃、洋書を読む授業や翻訳する経験を通じて、英語の文章や文化を自分の言葉で伝えられる嬉しさを知ったことです。卒業後はいったん英語教員になるも、やはり翻訳への強い気持ちが褪せることはなく、海外のものを日本に発信する立場になりたいと思えてきました。そして2年目に思い切って退職し、とことん翻訳を勉強しようとカレッジコースに入学しました。翻訳の仕事がどういうものか、何をしたらいいのかわからなかった自分にとって、1年間であらゆる分野を徹底的に学べるカレッジコースは学習に没頭できる理想の場所でした。
授業では自分以外の訳文を見ることのできる機会が多く、同じ英文なのにこんな訳し方もあるんだ、という発見ができて有益でした。自分の訳も先生やクラスメートに見てもらえるので、毎回翻訳の力が磨かれていくのを実感しました。またプロの翻訳者である先生方から、仕事のスタイルや業界のしくみなどの話も聞けて、職業像を捉えることができました。特に印象に残った授業は「児童文芸」。子どもの目線に立って訳すのが最初はとても難しかったのですが、その意識はしだいについていき、今の仕事で対象読者に応じた表現を考えるうえでも役立っています。ただ訳すのではなく、一度自分の中で意味を咀嚼し、新しい言葉に生成しなおして「伝える」ことこそが翻訳なのだと知りました。
受講中は、課題のほかにも仕事に代わる経験を積むことが大事だと思い、スキル向上を兼ねて翻訳のコンテストやボランティアに参加していました。特にボランティアで行った短編映画の字幕翻訳は、のちに応募先企業の面接でエピソードとして話せてよかったです。
実務翻訳の授業で身につけたスキルと姿勢を仕事に活かす。
今後は自然な言葉で「翻訳のレベルを超えた翻訳」をしたい
就職対策セミナーが終わった11月末頃から、いろいろな企業説明会に参加したり、アメリアのWebサイトで求人を調べたりして、積極的に就職活動をしていきました。あらゆる分野の求人を見ていくうちに、人の生活に密接に関わっている実務翻訳をしたいという想いが強くなり、現在の就職先であるSDLジャパンに応募しました。
社内での業務としては主に、海外オフィスから依頼のあった仕事をフリーランスの翻訳者に外注(コーディネーション)したり、納品後の翻訳をレビュー(チェック)したりしています。少量の文章は自分で翻訳もします。私はWebサイトの翻訳プロジェクトの担当が多いので、自分が携わった翻訳が実際のページに使われ、それがほかの人の生活の一部になっていると思うと非常にやりがいを感じます。職場には同じコース出身の先輩方も多くいるので、気軽に質問でき、働きやすい環境です。
カレッジコースの実務翻訳の授業では、正確に意味を捉え、なおかつ自然な日本語で伝えることが肝心だと学びました。課題に取り組む際は情報収集のためのリサーチに時間をかけていました。そうした習慣が力となり、今の仕事に活かせています。またレビューをするときは、客観的に、常に疑問を持ってとりかかるようにしています。この姿勢も授業で身につけた「スキル」だと思っています。
仕事ではマーケティング要素の強いジャンルを扱うことが多いので、よい意味で翻訳らしさがない自然な言葉を使った「翻訳のレベルを超えた翻訳」をできるようになることが目標です。今後も多くの人の翻訳に触れるなかでスキルをどんどん磨きたいですし、実務分野の中で自分なりの専門性も確立していきたいです。
※インタビュー内容は掲載当時の情報のため現在は状況が異なる場合があります。何卒ご了承ください。