松本峻平さん
大学卒業後、2011年度カレッジコースに入学。翻訳会社勤務を経て2015年よりフリーランスに。現在は前職の会社からIT関連の翻訳やチェックの仕事を受注している。
入学前から実務翻訳を目指していましたが、まずは3分野を幅広く、1年間じっくり学ぼうとカレッジコースに入学しました。科目の中で一番役に立ったと感じるのは「実務基礎」で、このとき使っていたBETAのテキストは今でもバイブルのような存在です。はじめは動詞や構文を訳すとき受験英語の訳し方から抜け出せずにいましたが、テキストの訳例は日本語として自然で読みやすく、ページをめくるたびに目からウロコの連続。本当の翻訳とは何かを教えられた気がします。また、いろいろな科目の先生から、固い訳文を書く特徴がある、小説よりノンフィクションにふさわしい文章が書ける、実務文書の翻訳に向いている、などの評価をいただいたことで、自分の得意・不得意を知ることができ、分野の適性を見極められました。
カレッジコースで出される課題は、実務分野一つをとってもIT、科学、経済、法律など多岐にわたっていて、どんな課題にもとにかく食らいつく癖がつきました。そのおかげで就職先の翻訳会社のトライアルにも合格できたと思っています。難しいトライアルでしたが、投げ出さずにやり遂げられたのは、日頃からさまざまな課題に一生懸命取り組んだことでチャレンジ精神が芽生えたからだと感じました。さらにコースの就職サポートとして、履歴書の書き方、自己アピールの仕方などをしっかり教えていただいたことも、社会人経験がなく就活が不安だった私にとっては心強かったです。
翻訳会社に勤務していたときは、一般向け科学記事の日本語版のチェックや、IT関係のマニュアルのチェック・翻訳などをしていました。独立後の今も、引き続きその会社からIT関係のチェックと翻訳の仕事をいただいており、翻訳分量を少しずつ増やしています。フリーランスは仕事量に波がありますが、時間を自分でコントロールできることと、やればやるだけ収入に反映されるのがメリットですね。何よりも、好きなこと、得意なことを仕事にしているのがやりがいだと感じています。それに通勤時間とその疲れがなくなったぶん、ITの本を読んでスキルアップをはかったり、異業種の方々と交流したりと、充実した余暇を過ごせるようになりました。
現在携わっているIT関係の仕事では、ときどき動画の字幕を訳すこともあります。そんなときは映像翻訳のスキルも活かせているので、カレッジコースで学んだことは自分にとってどれも大切な財産になっていると思います。もともと実務翻訳の道に進もうと決めていましたが、幅広く受講して大正解だったなと思います。日々の課題が難しくて挫けそうになっても、同じ目標を持つクラスメイトと一緒に切磋琢磨すれば努力は必ず報われると思いますし、かけがえのない有意義な1年間を過ごせることでしょう。