飯原央子さん
金融機関に10数年勤務した後、2015年1月よりフリーランスの翻訳者として独立。金融記事の英日翻訳を週1回担当するほか、ビジネス・IR関連の英日・日英翻訳を手がけている。
金融記事の英日翻訳をレギュラーで担当
2015年の1月より、フリーランスの翻訳者として歩み始めました。レギュラー案件として金融記事の英日翻訳を週1回担当し、ほかに社内文書や投資家向け情報などの英日・日英案件を随時受注しています。まだ子どもが小さいので母親業を優先しつつ、空いた時間に集中して翻訳。メリハリのある毎日を送っています。
記事翻訳の仕事は毎週、決められた曜日の夕方に原文が届き、その日の夜10時ごろまでに納品します。分量は仕上がりベースでA4サイズ1枚半ほど。専門家や投資家など金融に詳しい人たち向けの記事なので、用語や背景のリサーチは欠かせません。とはいえ、少ない時間でできることは限られているので、日頃から同じような経済・金融記事を読み、知識の吸収に努めています。
社内文書の場合、一番気を遣うのは「社内用語」の訳し方です。お客様が手直ししなければいけないような翻訳にはしたくないので、資料や用語集などを頂けないかどうか、必ず翻訳会社に確認するようにしています。
子育ての時間が欲しくて転職を決意
翻訳者になるまでの十数年は、金融機関に勤務していました。キャリアチェンジを考えたのは、5年前に子どもが生まれたことがきっかけです。子育てと会社勤めに追われる毎日を過ごしているうち、「もっと子どものそばにいてあげたい」と思うようになり、ひいては仕事に対して「このまま50歳、60歳まで続けて後悔しないか?」と疑問を抱くようになりました。 本当に望む人生を送ってみよう。そう思ったとき、頭に浮かんだのが「翻訳」でした。フリーランスなら在宅で仕事ができるし、職場で社内向けの翻訳をした経験もあります。数年内に海外に移住する計画があったので、場所を選ばない点も理想的でした。
仕事をしながら翻訳の勉強をしたかったので、ラインナップが充実しているフェローの通信講座を選びました。受講したのは、「実務翻訳<ベータ>」とマスターコース。仕事を終えた平日の夜、子どもが寝たあとに勉強する生活を1年ほど続けました。それが少しも苦にならなかったので、「翻訳が好きなのかな」と。翻訳を選んだ自分の判断に、自信を持つことができました。
プロの手ほどきを受け、1年で登録翻訳者に
通信講座であっても添削指導がとても丁寧だったので、授業を受けるのと同じくらいの学習効果があったと思います。「実務翻訳<ベータ>」では、受動態のように日本語にしにくい英語の訳し方を中心に、「数字の間違いは致命的ミス」といった「実務上の基礎」を習得。学校英語で教わる英文和訳と仕事として行う翻訳の本質的な違いを教えていただきました。
マスターコースでは専門性を深める勉強ができましたが、修了時に行われたスクーリングがすごく良かったです。現役翻訳者である先生から、納品レベルに仕上げるための推敲の仕方を教えていただいたのは大きな収穫。「英語が透けて見えない自然な日本語に手直しすることが大事」というアドバイスは、いまも仕事をするときに必ず意識しています。
マスターコースを終えた直後、翻訳会社のトライアルを受けたところ1社目で合格。会社勤めをやめた直後から、仕事を頂けるようになりました。わずか1年の勉強で成果を出せたのは、プロの手ほどきを受けたからこそ。ノウハウを教えてくれただけでなく、スクーリングの際に「あなたのレベルならトライアルを受けても大丈夫」と背中を押してくれた先生には、本当に感謝しています。
翻訳はチャレンジする価値のある仕事
1つの案件に取り組むたび、新たな知識が増える。そこに翻訳のやりがいを感じます。まだ子どもが小さいため、仕事に充てられる時間は限られていますが、あと数年もすれば子育ても一段落します。そうなったときに翻訳者として大きく飛躍できるよう、いまは1つ1つの仕事を大事にしながら、スキルアップや知識の獲得に努めているところです。
いずれは金融やビジネス関連の出版翻訳にも挑戦したいですね。次の目標も決まり、子どものことを第一に考えながら翻訳の仕事にも取り組めているので、毎日が充実しています。
自分のライフスタイルに合わせて仕事をしたい人にとって、翻訳はこれ以上ない選択肢だと思います。私自身、子どもを保育園に送っていった帰りにスポーツクラブで汗を流し、心身ともにリラックスしてから翻訳の仕事に取りかかるという、会社員時代には考えられなかった自由な生活を送っています。翻訳だけで食べていこうと思ったら何かと大変ですが、それに見合う価値は十分あります。興味のある方には、ぜひチャレンジしていただきたいですね。